ヤマダイスキーの旅日記

アウトドア全般、海外移住、資格試験、ウェブ開発などの話をします

AmazonKDPで自己出版をする手順とトラブルシューティング

かなり前になりますが、AmazonのKDP(Kindle Direct Publishing)で世界一周の旅行記を出版しました。

wonderfulsolution.hatenablog.com

 

今回、誤字脱字を修正した改訂版を出すにあたって「あれ、当時どうやってたっけ?」みたいになったのでこの記事にまとめていくことにしました。

KDPって英語で出版するのが前提だから日本語版だといろいろ勝手が違うんですよね。いちおう公式サイトで英語のマニュアルも閲覧できるんですが、これがまた分かりにくい。

 

まず大まかな流れからみていきましょう。

 

1,KDPのアカウントを作成してログイン

Self Publishing | Amazon Kindle Direct Publishing

Amazonの買い物用アカウントでログインできると思います。

2,原稿と表紙を用意

Wordなどで原稿を執筆してPDFに印刷。それから表紙の画像も用意します。実際に原稿を書くのもそうですが、フォーマットを確認したりPDFに印刷するのもかなり大変です。表紙についてはプロに外注したほうがいいといわれますが、僕はパワポで自作しました。

3,Bookshelf(本棚)で本を出版

僕はebookとpaperbackの両方を出しました。特にpaperbackはエラーが出まくりますが、粘り強く解決していきましょう。

4,販促

自分のSNSで広告を打ったり、eBookの無料キャンペーンを打ったりしましょう。僕の旅行記は毎月1日に無料にしています。

 

 

特に分かりにくいのは2原稿と表紙と3Bookshelfでの出版方法だと思うので、以下で詳しく説明していきます。

 

原稿用紙

自分で余白を設定してもいいのですが、公式のテンプレートを使ったほうがラクでしょう。日本語版は縦書きにも横書きにも対応しています。

Paperback and Hardcover Manuscript Templates

ここでpaperbackのサイズを決めることになります。僕は最終的に6x9インチにしましたが、これは高校の教科書とか青チャートより数ミリ大きいくらいです。残念ながらいわゆる文庫本サイズには対応していません。

原稿用紙のサイズはそれより小さくします。僕は横書きの5.98x8.58インチの用紙を選択しました。最終的にA5サイズ(148×210mm/5.83×8.27インチ)でprint to fileをしたあと、後述するPDFのサイズ変更ツールで6x9インチに拡大します。

日本語はブランク(白紙)のテンプレートしかないよ、っていう注意書きがあります。

原稿の書き方

目次と各章のタイトルにハイパーリンクの設定をすることでeBook版ですぐに飛べるようにできるそうです。ただ設定が複雑だったので僕はやりませんでした。挑戦したい方はこちらを参考にしてみてください。

Navigation Guidelines

またeBook版では読者が自由に文字サイズとか画面サイズを変えられるので「ページ」という概念がありません。いったんページ番号のない原稿を用意してeBook版を出版し、次にページ番号を付した原稿でpaperbackを出版するといいでしょう。

一冊の分量については紙質によって違いますが、最低24ページ、最大828ページと、かなり幅広く対応しています。僕の場合は約16万字で248ページになりました。

Paperback Submission Guidelines

表紙

以下でも説明しますが、表紙には細かい規定がいくつかあります。まず提出ファイルはPDFのみで、最大650MB、推奨40MBまでとなっています。

Create a Paperback Cover

サイズはここで計算してみましょう。背表紙にタイトルを書くためには最低79ページが必要とのことです。

KDP Cover Calculator

さらにタイトル、筆者名、バーコードの明記が必要とのことです。バーコードについてはKDPにアップロードするとき自動で生成してくれるので心配いりません。

 

この表紙の作成を英語版だったら半自動でやってくれるっぽいんですが、日本語には対応していないんですよね… 僕はPowerPointでつくりました。print to fileを選択し、ファイル名の拡張子を.pdfにしましょう。それから誰も突っ込んでくれないんですが、手のイラストも僕が描きました。

Cover Creator

KDP Bookshelfの設定 Paperback Details

原稿も表紙もできたらあと一歩、と言いたいところですが、最後のアップロードの設定がなかなか泥沼です。

まず言語、タイトル、著者などの基本情報を入力します。このとき「シリーズ」を追加すると最後に価格の設定画面でエラーが出てしまいます。価格は適正なはずなのに、なぜかエラーが出てしまうときはこれが原因かも。

紹介文とキーワードについては僕も研究中です。「読みたい!」「買いたい!」と思ってもらえるよう頑張りましょう。save and continueを押して次に進みます。

KDP Bookshelfの設定 Paperback Content

KDP ISBNを発行してもらいましょう。

紙とインクの設定は人によりますが、僕はBlack & White interior with cream paper、6x9 in、No Bleed、CoverはGlossy、ページの方向は横書きなのでLeft to Rightを選択しました。

Bleedというのは「出血」が語源ですが、ページのキワキワまで写真を入れたいときはBleedを選択しましょう。僕はすべて内側に収めているので(そもそも写真がほぼないので)No Bleedにしました。

そして原稿と表紙のファイルをアップロードします。

 

ここでエラーが起きた場合、

・PDFにしていない。

・サイズが合っていない。

・PDFに印刷したときフチが白くなってしまっている。

・PDFエディターの透かしが入っている。

などが考えられます。アップロードしてから半日~1日して

「Attention needed: Please review your title, ヤマダイスキーの旅日記」

みたいなメールが来たらエラーが発生しています。

 

主に表紙サイズの解決方法としては、

PowerPointのスライドサイズをA4にする。

・"Print to File"にチェックを入れて、A4でPDFに印刷する。

※プレビューでフチが白くなっていないことを確認。

・以下のサイトなどでサイズをA4から規定のサイズに変更する。縮尺を保持(Constrain proportions when scaling)のチェックを外す、コンテンツは中央寄せにする。

Resize, scale PDF files online for free.

でうまくいきました。

KDP Bookshelfの設定 Paperback Rights and Pricing

最後に値段設定をします。メインの市場はAmazon.co.jpにしました。

KDPの特徴として、販売価格の60%が筆者のロイヤリティとなり、そこから印刷コストを差し引く構造になっています。なおAmazon.co.jpは日本法人なので消費税がかかりますが、徴収や清算はすべてAmazon.co.jpがやってくれます。

僕の場合、売価が1120円、消費税が10%、ロイヤリティが672円、印刷コストが671円ということで、1冊売れるごとに1円が手元に入ってくる値段設定にしています。(※執筆時点)

これが電子書籍だと500円のうち70%がそのまま入ってくるので、僕としてはそっちのほうが嬉しかったりします。

 

 

以上、長々と説明してきましたが、これでもカバーしてきれていません。分からないことがあればコメントに書いてください。可能な限り回答しようと思います。

無事に「Your paperback book is available in the Amazon store!」みたいなメールが来たら出版完了です。お疲れさまでした。