ヤマダイスキーの旅日記

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【卒業論文】時系列衛星画像を用いた森林面積推移の解析 ー中朝国境の白頭山周辺を事例としてー

京大に提出した卒業論文ですが、著作権は学生にあるようなのでこちらで全文を供養しておきます。なお提出したものは要約を末尾に付しているのですが、ここでは分かりやすいように最初に記載しています。

 

論文要約

 本稿の目的は、国際社会から隔絶された北朝鮮の農村の実態を明らかにすることである。この目的を達成するため、北朝鮮両江道と中国吉林省の国境地帯に位置する白頭山について、1985年から2020年までの35年間のLandsat衛星画像をQGIS3.16のSCPで解析した。より具体的には森林をForest、建物、農地、耕作放棄地、荒地、道路をNon-Forestとラベル付けし、教師あり学習の最尤法によって分類した。この解析により北朝鮮側では年平均2,339haの森林減少が、中国側では年平均2,553haの森林増加が確認された。文献および統計調査により、北朝鮮側の農村拡大、中国側の人口減少と森林保護政策、および北朝鮮から中国への木材の輸出が両国の森林面積の変化を説明する主な要因であることが示唆された。

キーワード:時系列衛星画像、QGIS白頭山、長白山、森林モニタリング

 

第1章 はじめに

1-1 問題の背景

 筆者は2019年2月15日から2月19日までの期間、YPT(Young Pioneer Tours)社が主催する北朝鮮ツアーに参加した。これは中国との国境である丹東・新義州を出発して鉄道で平壌まで移動、翌日に平壌市内の各所を巡り、その翌日に韓国との軍事境界線まで往復、その翌日に中国に出国するという3泊4日のツアーであった。そこで見聞きした北朝鮮の内情、それもしばしば報道される首都平壌の様子や政治指導者の動静などではなく、鉄道の車窓越しに見えた農村の家屋や農地、そこを行き交う一般市民に対して強い関心を抱き、卒業論文の題材として北朝鮮を選ぶに至った。


 いうまでもなく北朝鮮は外国人の出入国や国内での活動が大きく制限される国家である。加えて同国の公表する統計は国威発揚の側面が強く、発表された翌年や翌々年に照合してみると過去のデータが過少修正されていることも珍しくないなど、学術的研究に用いるためには信憑性や情報量に欠ける。FAOやWFPなどいくつかの国際機関が定期的に国内を視察してレポートを公開している。しかし北朝鮮政府は援助増額を企図して貧困が厳しい地域のみの視察を許可する一方、他方では国としての体面を保つことを動機として生活水準の高い地域のみを選定することもあるなど、国際機関のレポートですら情報に偏りが疑われる。このような事情によって北朝鮮に関する文献は周辺国と比較すると極めて少なく、あったとしてもその多くは国家単位での政治、経済、軍事について記述されたものである。農村の人々の暮らしや、それを取り巻く環境の変化、国境を隣接する中国との貿易については、日本語だけでなく英語ですら十分な情報が得られない。しかしそんな北朝鮮においても、農村では人々が耕作をし、森林を開拓し、自然資源の利用や交易によって生活をしているのである。

1-2 本稿の課題

 そこで本稿では、数十年前から継続的に運用されているLandsat衛星の画像と、近年新たに登場した高度な専門知識を必要としないQGISというソフトウェアを用いることで、上記のように隔絶された北朝鮮の農村の実態を明らかにすることを試みた。すなわち衛星画像を一次資料として用いることでどこまで詳細な研究ができるか、および北朝鮮北部の農村・森林がどのような状態にあるかを明らかにすることが本稿の目的である。またその結果として、農村の暮らしが中央政府や国際外交の影響をどれほど受けているのかに関しても考察を加える。


 本稿の対象エリアとしては北朝鮮両江道と中国吉林省の国境地帯に位置する白頭山とその周辺領域を選定した。これは国境付近であれば民族・文化や地理的条件が連続しているが、政治制度が不連続であるため、検出された森林被覆率などの違いを国家の違いに帰属することができるからである。

 

 北朝鮮の国境のなかでも白頭山を選定した理由は以下の通りである。まず北朝鮮と韓国の軍事境界線付近は南北2kmにわたって立ち入り禁止エリアとなっており、居住する人々の連続性が見られないこと。また北朝鮮と中国との国境地帯のうち、新義州・丹東付近は経済特区に指定されており条件が特殊であること。そして白頭山から北東に流れる豆満江下流域では衛星画像に中国、北朝鮮、ロシアの3ヶ国が含まれ、さらに日本海も含まれるため解析が複雑になること。その一方で白頭山付近であれば衛星画像が単一のエリアに収まり、日本海も含まれない。よって筆者が実際に訪れた地域とは異なるが、本稿では白頭山周辺を事例として論をすすめていく。

 

 なお白頭山朝鮮語「백두산」に基づく日本語名であり、中国語では「长白山」ないし「長白山」と表記される。一般的な英語表記としてはChanbai Mountainも使われるが、どちらかというとPaektu Mountainの方が多い。そのため本稿では白頭山に表記を統一する。

 

第2章 先行研究

 本研究に関連が深い先行研究として、1972年と1988年のLandsat画像から白頭山の周辺(967,847ha)をForestとNon-Forestに分類したZhengら(1997)の研究がある。彼らによるとこのエリアの森林被覆率は1972年9月に84.4%、1988年10月に74.5%だったという。彼らは森林被覆率の変化が白頭山周辺の保護区内ではなくその外側で見られ、その原因を標高が低いエリアでの木材の切り出しに求めた。1972年はLandsatプロジェクトが開始した直後のものでその当時は先進的な研究といえるが、しかしやはりZhengら(1997)で用いられたデータと解析手法は古く、比較も2年分のみと、森林被覆率の正確性についてはやや疑問が残る。また9月と10月は落葉樹の多いこのエリアで落葉と紅葉の時期であり、森林被覆率が過少に評価された可能性がある。また使われた衛星画像のうち4分の3の面積が中国であり、さらに中国と北朝鮮で切り分けて比較しているわけではないことにも注意を要する。


 これらの課題を克服したのがTaoら(2017)による研究である。すなわち1977年から2015年にかけて白頭山周辺のLandsat衛星画像を解析することにより、15,700km²あった森林面積が14,800km²へと5.78%減少したことを突き止めた。彼らはLandsat衛星画像の画像認識だけでなく複数回の現地調査も並行して実施しており、その調査結果として森林減少の主な原因が木材の伐採、農村と都市部の拡大、農地の拡大、そして度重なる台風による被害であると結論付けた。彼らは中国と北朝鮮での比較も行っているが、しかし面積比がやはり約3:1となっており、かつ北朝鮮側は標高が高いエリアのみが含まれている。また森林減少の要因について、それぞれがどの程度寄与しているか定量的な分析を行っているわけでもない。


 同様の研究としては、白頭山の山頂を源流として北東に流れる豆満江の流域について、Kangら(2018)が衛星画像の画像認識によって土地利用の変化とその要因を分析した。彼らによるとこの流域では森林面積の減少が見られ、特に1991年から2000年の北朝鮮においてその傾向が顕著であった。その要因として、流域全体で森林が切り開かれ、耕地として利用されたことが最も大きいとしている。

 

表2-1 豆満江流域における森林面積の変化

[ha/年]

1991-2000

2000-2010

2010-2016

中国

-1500

+2818

-329

北朝鮮

-4440

-1282

-2586

出所)Kangらの研究(2018)をもとに筆者作成

 

 次に2005年と2007年の中国側の現地調査と衛星画像の解析によって、白頭山周辺におけるバイオマス量と森林の樹種を推定したChiら(2017)の研究がある。彼らによると、同地域の主な植生はKorean pine (Pinus koraiensis) チョウセンゴヨウ、Dahurian larch (Larixg melinii) グイマツ、Manchurian fir (Abies nephrolepis) チョウセンモミ、Amur linden (Tilia amurensis) アムールリンデン、Manchurian ash (Fraxinus mandshurica) ヤチダモ、Mongolian oak (Quercus mongolica) モンゴリナラ、Maple (Acer mono) イタヤカエデ、Erman’s birch (Betula ermanii) ダケカンバである。この樹種の特定結果についてはShao(2011)、Shaoら(2011)、Zhouら(2011)の結果とも合致する。


 また北朝鮮の全国的な国立公園制度の調査と衛星画像解析を行ったMcCarthyら(2021)によると、白頭山周辺では2000年以降に森林面積の減少と細分化による生態系の損失が認められた。しかしそれら森林減少の要因については政府の対応の不備としか言及されておらず、結論としても国際的な生態系保護の協力が必要と述べるにとどまっている。その一方で、Wangら(2016)によると中国側では“the Natural Forest Resources Protection Project”すなわち国立公園に関する森林保護政策の導入、および長期的な平均気温の上昇によって、森林面積の回復や生態系指数の改善が見られたという。


 同地域の気温と植生の関係について、Yingら(2010)は白頭山周辺の森林面積の季節変化および経年変化を調べた。彼らによると2000年代にこの地域では気温の上昇トレンドが見られ、森林面積の増減要因としては降水量より気温のほうが大きく寄与すること、また春と秋は気温と森林面積に正の相関があり、夏は負の相関があることが確認された。


 総じて先行研究としては、白頭山周辺の森林資源や生態系に焦点を当てたものが多い。また森林面積の変化ないし減少の要因を気候変動に求め、国際的・包括的な枠組みで保護していくべきとの提言で結ばれているものも少なくなかった。上に挙げたような北朝鮮における農地拡大と木材供出が森林減少の原因とする研究もあるが、北朝鮮の統計が得られないこと、さらに中国の公式統計も情報量に限界があることにより、定量的に森林減少の要因を分析した研究は発見できなかった。加えて衛星画像の解析はそれぞれが独自に開発したプログラムで実行されており、2014年に公開されたQGISのSCP(Semi-Automatic Classification Plugin)などのオープンソースはあまり活用されていない。そこで本稿では長期間のLandsat衛星画像をQGISのSCPで解析することに加え、北朝鮮側と中国側を同程度の面積に切り分けて比較し、さらに文献や中国側の政府統計を調査することによって、森林面積の増減の要因が気候変動ではなく北朝鮮における農地拡大、および中国における人口減少と森林保護政策であることを明らかにしていく。

 

第3章 衛星画像解析にみる森林面積の変化

 以下で述べる衛星画像解析の手法は、SCPの開発者であるCongedo(2021)による操作マニュアル、および同手法によりスリランカの森林火災を解析したSandamaliとChathuranga(2021)の研究、また同手法によりブルキナファソの土地利用の変化を解析したLerouxら(2018)の研究を参考にした。

3-1 データ取得

 衛星画像のデータはUSGS(アメリカ地質調査所)のホームページであるEarth Explorerから取得した。対象エリアは同ホームページの表記によるとPath:116、Row:031の画像であり、下図のように北緯42°48'から北緯40°40'、東経126°36'から東経129°24'の範囲に収まっている。この地域の標高は410mから2,740mまで、勾配は0度から73度までの範囲であり、年間平均気温は-7℃から3℃、年間平均降水量は700mmから1,400mmの間である(Zhengら,1997)。なお下図において、緑色の四角形が衛星画像の取得エリア、赤色の三角形が白頭山頂上である。 

 

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図3-1-1 対象エリア
出所)Earth Explorer, 2021

 本研究で使用した衛星画像はLandsat 4-5号のTM(Thematic Mapper)、Landsat 7号のETM+(Enhanced Thematic Mapper, Plus)、およびLandsat 8号のOLI(Operational Land Imager)による。

 

 検索条件としては、FAOとWFP(2019)の合同視察団のレポートを参考に、同国で農繁期とされる6月初旬から8月下旬までの期間で、雲量が最大で2%のものを最優先とした。これにより森林面積の減少が認められたとき、その原因が農地の拡大なのか、それとも気候変動などによる森林の消失なのかを目視で判別できるようになる。また逆に森林面積の増加が見られたときには耕作放棄とみなすことができる。
 

 しかしすべての年について条件に合致するデータが得られたわけではなく、その場合には5月か9月で雲量が5%以下のものを用いた。これにより3年を超える空白期間が生まれないようにした。これらの画像の解像度はすべて30mである。1985年から2020年までの36年分についてBand1, Band2, Band3, Band4からRGBに相当するもの(衛星画像によって異なる)を選択し、加えてメタデータをダウンロードした。合計の容量は12.6GBであった。

 

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図3-1-2 北朝鮮における農業カレンダー
出所)FAO・WFP, 2019

 

表3-1-1 使用した衛星画像の一覧

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出所)筆者作成

3-2 画像処理

 ダウンロードした画像をQGISで解析した。バージョンは執筆時点で最新版3.22 Białowieżaが公開されているが、今回は長期リポジトリの3.16 Hannoverで解析を行った。開発環境はエディションWindows 10 Pro、プロセッサIntel(R) Core(TM) i7-10710U CPU @ 1.10GHz 1.61 GHz、実装RAM 16.0 GB (15.8 GB 使用可能)であり、一連の解析作業の前にPCの初期化を行った。
 

 まずRGBに相当するBandを選択してTrue Colourで表示し、雲が含まれている年についてはプラグインクラウドマスキングで除去した。次にNon-Forest; 建物、農地、放棄地、荒地、道路、Forest; 森林として2つのクラスに分類し、Non-Forestについては10-15地点、Forestについては4-5地点を継続的に選定してトレーニングデータに入力した。下図において、黒い三角形が森林(この年は北東部が雲で隠れているため4地点となっている)、赤線で囲まれた範囲が市街地および農村である。また青で塗られた部分はクラウドマスキングによって除去された雲の領域である。

 

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図3-2-1 選定ポイントおよびクラウドマスキング
出所)QGIS3.16を用いて筆者作成

 

 衛星画像の面積は年によってわずかに違いがあるが、おおよそ34,225km²であった。このうち白頭山の山頂付近が画像の20%を占めていたが、天池とその周辺の積雪部が常にNon-Forestとして検出されてしまうため除外した。その後北朝鮮側と中国側をROI(Region of Interest)機能により切り分けた。これにより北朝鮮側の面積は15,377km²、中国側の面積は12,336km²になった。割合に換算するとそれぞれ55.5%と44.5%であり、およそ半々といえる。


 それぞれの画像データについて最尤法(maximum likelihood)により分類を実行し、classification reportから各クラスの面積と割合を記録した。解析方法に主観的な判断を含むため無作為に選んだ衛星画像について計3回同様の手法で再試行したところ、森林被覆率の誤差は0.0015%程度であった。ただし雲量が5%の年が含まれており、さらに雲域がどちらかの国に偏っている場合は北朝鮮側と中国側で切り分けたために雲量の割合が増加した。そのため森林被覆率の精度の検証まではできなかった。

3-3 森林被覆率の変化

 以上の画像処理に基づき、
(Forest)/(Forest + Non-Forest)
(Non-Forest)/(Forest + Non-Forest)
という計算式により、雲がないものと仮定したときのForestとNon-Forestの割合を算出した。その結果が以下の図である。

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図3-3-1 白頭山周辺地域における森林被覆率の推移
出所)筆者作成

 

 線形回帰式は北朝鮮側の森林被覆率が
Fd= 0.7918*** - 0.1521*trend
ただしR² = 0.2487、N=17、切片についてのt値が54.5994、95%信頼区間が[76.0875, 82.2695]、トレンドについてのt値が-2.2286、95%信頼区間が[-0.2976, -0.0066]であった。

 また中国側の森林被覆率が
Fc = 0.8042*** + 0.2070**trend
ただしR² = 0.4048、N=17、切片についてのt値が58.411、95%信頼区間が[77.4814, 83.3503]、トレンドについてのt値が3.19379、95%信頼区間が[0.06885, 0.34513]であった。ただしtrendは計測年から1985を引いたもの(trend=year-1985)であり、***、**、*はそれぞれ0.1%、1%、5%水準で有意であることを意味する。


 この回帰式により、北朝鮮と中国では1985年時点で森林被覆率に大きな差はないが、北朝鮮側では35年間で5.324%すなわち平均して年率0.152%の森林減少が確認され、一方の中国側では35年間で7.245%すなわち平均して年率0.207%の森林増加が確認された。北朝鮮側の面積は15,377km²であるから年平均2,339haの森林減少、中国側の面積は12,336km²であるから年平均2,553haの森林増加がそれぞれ起きている計算になる。


 このように北朝鮮と中国の森林面積について対照的な長期トレンドが判明したが、たとえば北朝鮮で1990年代に起きた大飢饉による影響など、短期的な社会的イベントが森林に与える影響までは検出できなかった。これはつまり経済制裁や天災などで住民が大規模な森林伐採をしていたとしても、この手法だけではすぐに捕捉できないことを意味する。

3-4 森林被覆の空間的動態

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図3-4-1 白頭山周辺地域における土地利用の変化
出所)QGIS3.16を用いて筆者作成。画像内の黒線は筆者が描画した国境。

 

 前項ではエリア全体の統計的な森林被覆率の推移を把握したので、次にどの地点で土地利用が変化したのかを解析していく。QGIS3.16のPost Processing/Land Cover Change機能により1985年と2020年のForest AreaとNon-Forest Areaを比較し、継続してForestだったエリアを緑、継続してNon-Forestだったエリアを赤、ForestからNon-Forestに変化したエリアを黄、Non-ForestからForestに変化したエリアを青で塗り分けた。


 その結果、まず北朝鮮側の恵山市や延社邑といった市街地や農村の中心部が赤いエリアとして検出されており、35年間にわたって人々が継続的に居住・生活してきたことが確認された。さらにその恵山市と延社邑の周縁部、白頭山の東部山麓、および鴨緑江沿いの金亨稷郡付近などが黄色いエリアとして検出されている。それぞれの解釈として、まず恵山市と延社邑では人口の増加と人為的な活動がより山奥へと拡大したことが要因と思われる。なお恵山市に関して、鴨緑江を越えた中国側の範囲にまでは市街地が拡大していないことも同時に確認できた。それ以外の地域についてそれぞれ衛星画像を拡大して確認したところ、白頭山の東部山麓では新しい集合住宅がいくつか確認でき、集団での大規模な農村移住が起きたことが示唆された。鴨緑江沿いの金亨稷郡付近では農村の人口が増加したことに加え、中国で森林資源の伐採が規制されたことで北朝鮮側の森林伐採量が増えていることが推測された。


 次に中国側について、抚松鎮、東崗鎮といった市街地や農村の中心部は継続して赤いエリアになっており、北朝鮮側と同様に人々が継続的に居住してきたことが確認された。また白頭山山麓の大部分は継続して緑色のエリアとなっており、保護地区として開発が抑制された成果と見ることができる。北朝鮮側と異なり中国側では黄色いエリアがあまり見られず、今回衛星画像で解析した範囲内において農村が拡大していないことが示唆された。その一方で青いエリアが市街地周辺に見られるなど、人口減少と農村縮小が起きている可能性がある。


 さらに両国ともに青いエリアが市街地から離れた山奥において断片的に見られるが、これは1980年代までに森林を開拓したものの条件が不利になったために放棄された箇所、もしくは高齢化や出稼ぎなどの個人的な理由で離農・移住したことによる耕作放棄地ではないかと思われる。


 以上の画像解析および動態解析により示唆された内容について、以下ではさらに文献・統計調査によって裏付けながら更に検証していく。

 

第4章 文献・統計による画像解析結果の検証

4-1 北朝鮮側の農業活動による森林の過剰利用

 IsozakiとSawada(2017)によると、2014年から「圃田担当責任制」が本格的に導入された。これは全国の協同農場で少人数(1~5人)のグループが田畑での作業を担当し、労働時間とその質に応じて現物を受け取る制度である。生産された農産物は、農薬、肥料、農機具、土地など国家資産の使用料の納付分と農民への食糧分をまず確保したのち、残った分すべてを国家が買い上げ、それで得た現金を農民に分配する。それまで大人数(20人程度)の集団農業および一定量の配給だったものが、少人数での農業なおかつ余剰食糧が農民に配分されるようになったことで耕作意欲が向上したという。


 またIto(2017)は、北朝鮮では水稲やトウモロコシの苗床の骨組み・横木・防風柵として大量の木や茅や蓬が必要になること、さらに許容された私有農園のほかに、ソトジ(小土地や焼土地という漢字が充てられる)という遊休地や山間地などを開拓した違法な耕作地が広く認められることを指摘している。特に今回対象エリアとした咸鏡道では火田と呼ばれる焼畑耕作も行われ、森林減少の要因となっているという。農民の農地開拓だけでなく、都市住民の間でも石炭などの燃料の支給が滞ったことから林野での違法伐採が行われ、その跡地を近くの協同農場が畑として開墾することもある。2009年に「小土地をなくすことに対する金正日の方針」が出され、回収された小土地に苗木を植樹する作業が計画されたが、実態としては依然として違法な私用地が存在している。


 このように北朝鮮では農民や都市住民が森林資源を過剰に利用しており、適切に管理がなされないまま森林面積が減少していることが文献からも裏付けられた。


 さらに具体的な白頭山周辺の事例を調べるため、複数の脱北者支援団体に連絡を取ってアンケートないしインタビューによる裏付け調査の実施を試みた。すなわち農家や政府関係者であれば現地の農業や森林利用についてナラティブな情報が得られると考えたためである。しかしこれに関しては新型コロナウイルスの流行により各団体ともに活動を制限・休止しているようで協力が得られなかった。加えて平常時であれば中国側に入国して現地調査をすることも可能であろうが、それも叶わなかった。そのため補完情報として、以下の項では中国側の統計を利用することで森林面積の増減の理由を探っていく。

4-2 中国側の人口流出による森林面積の増加

表4-2-1 吉林省における都市部への人口集中

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出所)吉林省統計局(2021)をもとに筆者作成
1)地名の中国語表記は日本語表記に改めた。
2)長白山管委会は2006年に新設されたものだが、2010年のデータについても記載がなかった。

 

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図4-2-1 吉林省における都市人口、農村人口、および都市化率の推移
出所)吉林省統計局(2021)をもとに筆者作成

 

 中国側では、吉林省統計局の人口統計によると、人口比率はここ10年間で長春市への集中が見られ、農村人口は1990年をピークに減少している。都市化率は1953年から継続して増加している。総人口は1982年から現在に至るまでほぼ横ばいといえる。これは延辺朝鮮族自治州から韓国や中国の大都市に人口が流出しているという文献の記述(Kasetani, 2002)とも合致しており、中国側で森林面積が増加しているという解析結果とも整合的である。


 また人民日報(2021)によると、一人っ子政策に加えて東北三省では男性人口の流出が見られ、2020年までの10年間で1100万人もの人口減少が起きたという。この要因として、Kasetaniが2002年に指摘したように、改革開放により朝鮮族が中国の大都市に出稼ぎしやすくなったこと、また中韓国交樹立の翌年である1993年から、朝鮮族女性と韓国男性の国際結婚が急増したことが挙げられる。

 

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図4-2-2 延辺朝鮮族自治州安図県の人口推移
出所)安図県統計局(2021)をもとに筆者作成

 

 吉林省全体だけでなく、延辺朝鮮族自治州の南部に位置する安図県でも人口減少が見られる。同県では1964年以降人口増加率が低下しつづけ、2000年をピークとして人口減少に転じた。隣の白山市は2006年1月に行政単位の統廃合があったため長期的な統計を利用できないが、上記のように吉林省では都市部への人口集中が起きており、2006年に新設された长白山保护开发区管理委员会(長白山保護開発管理委員会)の管内でも人口減少が起きているものと見られる。

4-3 中国側の退耕還林政策による森林面積の増加

 これら人口減少に加えて、中国で2003年から始まった退耕還林政策に代表される植林政策も大きな影響を及ぼしている(Cheng, 2018; Oniki et al., 2007)。退耕還林政策は主に黄河や長江の上流域を対象として行われたものだが、吉林省林業発展第11次5カ年計画(2006年-2010年)や吉林省13次5カ年計画(2016年-2020年)では「荒廃地・砂漠化地域における植林・植草」「森林被覆率、森林管理保護実施面積」などについて数値目標が示され、またその援助としてJICA主導の円借款プロジェクトも実施された(Nishino, 2019)。ただしJICAの吉林省松花江流域生態環境整備事業報告書では対象エリアが「吉林省」とされており、具体的にどこに植林を行ったのかは不明である。

4-4 北朝鮮側の木材輸出による森林面積の減少

 2000年ごろに中国と北朝鮮の国境をチャーターしたタクシーで横断したBe(2007)の記述によると、中国東北部で森林保護の規制が強まったことにより、対岸の恵山から丸太がトラックに山積みされて輸出されていたという。さらにこの輸出は中国の公安警察北朝鮮の政府関係者が関わった、いわば公然の密輸だという。


 この点に関して中国吉林省統計局のホームページから定量的なデータの収集を試みた。2005年以前の統計は入手できず、また2009年から2013年までは輸入材の内訳が公開されていなかった。2006年から2008年は単位がm³であり、2014年以降は単位がtonであるが、この地域の植生の多くが針葉樹であることから、その密度を0.5 ton/m³としてm³に換算した。なおこの輸入元の国の内訳は公開されていなかったが、木材を空輸することはあまり考えられず、ロシアとの国境取引も限定的であるため、すべて北朝鮮からの輸入とみなした。なお同じホームページにおいて輸出品目の内訳によると中国から北朝鮮への逆方向の木材輸出は確認されなかった。

 

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図4-4-1 北朝鮮から中国吉林省への木材輸出量の推移
出所)吉林省統計局ホームページ(2021)をもとに筆者作成
1)2014年から2019年は単位をtonからm³に換算した。

 

 次にこの量の木材を伐採した場合にどれほどの面積になるか算出するため、ここでは吉林省の林齢別面積と林齢別蓄積量のデータ(Chen, 2005)を使用した。この報告をもとに計算すると、立木密度はそれぞれ幼齢林で33.1m³/ha、中齢林で103.8m³/ha、近熟林で137.3m³/ha、成・過熟林で186.4m³/haになる。また林齢別面積と林齢別蓄積量ともに中齢林が4割以上を占めていることから、ここでは輸入元である北朝鮮北部の立木密度を100m³/haと仮定する。


 上記の仮定に基づく推計によると、上記の図を森林面積として再解釈すると、輸入元である北朝鮮では毎年少なくとも1,000ha、多い年で3,000haに及ぶ面積の森林伐採が起きていることが判明した。本稿第3章で衛星画像により解析したエリアは中国吉林省北朝鮮が接する部分のうち3分の1程度であり、貿易により伐採される森林はほかのエリアも含んでいる。しかし北朝鮮側で年平均2,339haの森林減少と中国側で年平均2,553haの森林増加が起きているとする推定について、およそ半分程度の要因が北朝鮮から中国への木材輸出であると思われる。

 

第5章 結論

5-1 本稿の貢献

 統計の乏しい北朝鮮について、衛星画像を一次資料としてかなり多くの情報を取り出すことができた。また先行研究と比べてより新しいデータを用いたというだけでなく、新規の手法としてQGISというオープンソースを用いたこと、北朝鮮側と中国側をおよそ同じ面積に切り分けて比較したこと、さらに統計や文献により解析結果を検証したことが、先行研究では行われていなかったが本稿によって達成された点である。その結果として単年度の社会的イベントの捕捉まではできなかったが、検証可能な方法で長期的な森林面積の増減が確認できたことは大きな貢献である。


 先行研究のなかに気候変動によって白頭山周辺の森林が減少しているとする主張が何点かあったが、本稿により北朝鮮側と中国側で対照的な森林面積の増減トレンドが確認され、気候変動など外的な要因ではなく、現地の人々の行為によって森林面積が変化していることが判明した。この結果はTaoら(2017)やKangら(2018)の主張を異なる手法によって支持するものである。

5-2 結論

 Landsat衛星画像の時系列解析により、北朝鮮と中国では1985年時点で森林被覆率に大きな差はないが、それ以降の35年間に北朝鮮側では年平均2,339haの森林減少が、それと対照的に中国側では年平均2,553haの森林増加が起きたことが確認された。また動態分析により、北朝鮮側では恵山市と延社邑の近郊、白頭山の東部山麓鴨緑江沿いの金亨稷郡付近などで人口の増加、大規模な農村移住、農業活動の山間部への拡大、および森林伐採面積の増加が確認された。一方で中国側では白頭山山麓の大部分が保護地区に指定されたことで開発が抑制されたこと、および抚松鎮や東崗鎮といった市街地や農村において人口減少と農村縮小が起きたことが確認された。


 次に中国吉林省の統計などを活用し、これらの要因がそれぞれ森林面積の変化に何割ほど寄与しているか調査した。それにより中朝貿易によって毎年少なくとも1,000ha、多い年で3,000haに及ぶ面積の森林伐採が起きていることが判明し、今回衛星画像で解析したエリアが吉林省北朝鮮の国境のうち3分の1程度であることから、およそ半分程度の原因が木材輸出であることが示唆された。

5-3 残された課題

 なお、本稿について以下のような残された課題が挙げられる。まず衛星画像データおよびQGIS解析手法の限界として、1)雲の含まれない画像を用意できず、誤差の検定もできなかった。2)9月下旬の画像を利用した年では紅葉・落葉によって森林が荒地などと判定された可能性がある。3)SCPが利用可能になったのが2014年であり、手法としてまだ確立したとはいえない、などの点が挙げられる。


 ただし2018年からはLandsat衛星画像よりさらに解像度の高いSentinel衛星画像が利用可能になっており、今後同様の手法による研究はさらに精度が向上することが期待される。


 また北朝鮮に関する文献や統計が乏しかったため、複数の脱北者支援団体に連絡を取ってアンケートないしインタビューによる裏付け調査を企画したが、新型コロナウイルスの流行により各団体ともに活動を制限・休止しているようで協力が得られなかった。加えて中国側に入国して現地調査をすることも叶わなかった。それを補填する材料として中国側の人口統計や貿易統計を用いたが、行政単位は衛星画像で解析したエリアと枠が異なるため、満足のいくような論拠にはならなかった。

 

Summary in English

This paper aims to reveal the reality of rural DPRK, a country isolated from the international community. To achieve this objective, 35 years of Landsat satellite imagery from 1985 to 2020 were analysed by QGIS 3.16 SCP for Paektu Mountain, located in the border region between Ryanggang Province, DPRK and Jilin Province, China. More specifically, forests were labelled as Forest, and buildings, farmland, abandoned land, wasteland and roads were labelled as Non-Forest. These were classified using the maximum likelihood method of supervised learning. The analysis showed deforestation of 2,339 ha per year on the DPRK side, while an increase of the forest area of 2,553 ha per year on the Chinese side. Literature and statistics indicate that rural expansion on the DPRK side, population decline and forest protection policies on the Chinese side, and timber exports from the DPRK to China are the main factors of the forest coverage changes in this area.

Keywords: time-series satellite imagery, QGIS, Paektu Mountain, Changbai Mountain, forest monitoring.

 

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