放送大学大学院 臨床心理学プログラムに応募している。
もともと選科生(科目履修生)として座学をこなしてきたが、全科生(修正課程)として入学できるか、という段階である。
とりあえず研究計画の提出と筆記試験が終わったので、そこまでを記録として残しておく。(出願に際して不利益になりそうであれば一時的に非公開にします)
研究計画
【題名】
AIカウンセリングサービスのアルゴリズム及びインターフェース最適化に関する考察
【背景と目的】
セラピストによる従来型の対面カウンセリングは手法や効果に信頼性がある一方で、クライエントに時間的・金銭的な負担を強いるという問題があった。そんな中で、昨今ではAIを活用したカウンセリングサービスが数多く登場している。多くはスマートフォンやWEB上のチャットボットに相談する形式であり、ユーザーは自身の精神状態に合わせて、24時間、無料ないし低額で気軽にカウンセリングを受けることができる。しかしそれらのサービスは必ずしも臨床的な効果検証を踏まえていない。そのため本研究では、継続利用されるサービスの特徴を明らかにしつつ、経時的なストレス軽減効果を検証する。
【先行研究】
ChatGPTなどAIツールの爆発的な普及を受けて、それらを活用したサービスも数多く展開されている。2023年8月現在、チャットボットを活用したAIカウンセリングサービスとして、SELF MIND など10種類以上のアプリが確認できた。また一方で、臨床心理士が遠隔ないし匿名でカウンセリングを行うサービスも複数存在する。
AIカウンセリングサービスの効果検証を行った先行研究として、例えば紙田ら(2021)はカウンセリング技法のSAT法をデジタルコンテンツ化し、VR、チャットボット、WEBのそれぞれにシステムを組み込むことでストレス軽減効果や継続利用率を測定した。このシステムには、①メンタル状態を知るアセスメント部、②ストレス軽減を実施するソリューション部の2機能が実装された。その結果として、没入感のあるVRが最も効果が高く、ユーザーの継続利用率ではチャットボットが優れていることが示された。しかしこの研究ではカウンセリング手法についての比較検討が十分になされていない。またAIツールが過去1年間で爆発的に普及したため、検証を行った研究は少ない。
【研究手法】
紙田ら(2021)の研究を参考として、チャットボットを活用したAIカウンセリングサービスから4つ、および対照群として専門家によるカウンセリングサービスを1つ選定し、被験者50人をそれぞれ10人ずつ配分してサービスを利用してもらう。一日15分の7日間プログラムにおいて、ストレス度をK6尺度によって毎日測定する。加えて被験者に半構造インタビューを実施し、サービスに対する満足度、改善要望、継続利用の意向を確認する。ストレス軽減効果が高く、継続利用されるサービスの特徴を明らかにするために、被験者の質的データに加えて、アプリのインターフェース、カウンセリング手法、およびその実装方法であるアルゴリズムを比較検討する。
【参考文献】
紙田剛,松本敦子,伊藤達哉,井上智雄, セルフメンタルヘルスケアシステムの継続利用促進に向けたチャットボット利用,2021, 情報処理学会論文誌デジタルコンテンツ(DCON),9(1).
筆記試験
放送大学の公式HPに過去3年分の問題が掲示されているが、時間が経つと更新されてなくなってしまうので、ここで保存しておこう。
字数制限はいずれも600字。解答用紙がほかの科目と共通ということもあり、800字まで書けるようになっているので要注意。
解答用紙とは別にメモ用紙が5枚渡されるが、時間が5問で120分なのでのんびりメモ用紙に下書きをしている余裕はない。僕は最初の20分を全問題のブレインストーミングに使って、そこからは解答用紙に書いていった。
2023年入学(2022年10月)問題
2022年入学(2021年10月)問題
2021年入学(2020年10月)問題
問題の傾向としては、
心理面接における姿勢
不登校児の支援
地域援助
調査・研究法
の各分野からそれぞれ1問ずつ出題されている。
問われ方としては、種類、特徴、留意点、という形式が多い。
人名や専門用語の知識があるに越したことはないが、だいたい出題されても1問。
なので勉強をするのであれば効率が悪い。(どうせDSMもICDも改訂されるし)
それより解答を分岐させて、①このような場合には~と対応する、②このような場合には~と対応する、みたいに想定して記述するとか、
「例えばこのようなクライアントがいたとすると」「逆に定型発達のパターンとしては」みたいに事例として記述するのが有効かと思う。
筆記試験の倍率は3倍強くらい。
筆記試験を突破したらまた面接の倍率が3倍強。
全体で倍率は10~11倍くらい。狭き門といえる。