ちょっと前の話になりますが、第100回全国高等学校野球選手権記念大会、つまり夏の甲子園が終わりましたね。テレビで見ていた人も多いのではないでしょうか。
寮の部屋にテレビがないこともあって僕は中継を見ていませんでしたが、準決勝は甲子園球場まで見に行きました。個人的には準々決勝とか準決勝くらいが一番面白いゲームになるような気がしますが、これは野球に限らずどのスポーツでもそうなんじゃないですかね。というのも圧倒的な個性で勝ち上がってきたチームって優勝じゃなくてベスト4とかベスト8とかで終わることが多いような気がします。なんというか尖りに尖ったチームは完全無欠なチームに阻まれる感じ。
さて、しかし今回の記事では野球についてではなく、もうちょっと抽象的なことを書くつもりです。
1、判官びいき
観客ってなんで負けてる方を応援するんですかね?
試合を序盤から自分たちのペースで動かすこと、そして最終的に勝利することって間違いなく「悪」ではないでしょ。むしろそれは練習の成果であり、監督の采配であり、ひょっとすると相手のミスであり、とにかく「実力」なわけです。もちろん運も実力のうちだと思います。実力がなかったら幸運も逃げていくだけでしょ。
確かに弱いものを守りたくなる気持ちは分からないでもないです。手助けが必要そうな人がいたら僕ももちろんできることをします。
でもそれはあくまで日常生活での話であって、スポーツでは負けているチームを「可哀そう」「今の判定は厳しすぎる」「もう手加減してあげて」なんていうのは、勝っているチームに対しての敬意が欠けているように思います。
お互いルールに則って正々堂々とプレーしている以上、「ああ負けちゃったか、悔しかったね、また今度頑張れ」「勝ったか、おめでとう。努力の成果だね、次も頑張って」というのが公平な評価でしょう。("頑張って"という言葉は好きじゃないけどまあいいです。)
ちなみに僕はスポーツを観戦するとき、基本的にはどちらも応援しないです。
もちろん自分の学校とか自分の出身地のチームが戦う時はそっちを応援しますが、両チームとも自分と関わりがないならどっちに肩入れする必要もないわけで、あくまで「ナイスプレー」だったり「ナイス采配」だったり、もしくは各チームや各個人の持ち味を見たいと思っています。
2、日本人っていいなぁと思った瞬間
前述の判官びいきは日本人の国民性で好きじゃないものの1つですが、逆に日本人らしさで好きなのが
「ビールやお金をみんなで手渡しする」
「ゴミはゴミ箱に捨てる」
「トイレの順番をしっかり守る」
っていうところ。
もちろん全員が常にそうというわけではないんですが、でも少なくとも外国人と比べたら圧倒的に日本人は礼儀正しくてマナーをわきまえています。甲子園球場ではほとんど外国人を見かけませんでしたが、「外国人目線だったらこういうシーンに感動しそうだよなぁ」とちょくちょく思っていました。(僕は価値観が半分くらい外国人になりつつあるので、、、)
僕がいた外野席ではずっと直射日光が当たっていて「暑い!汗が止まらん!」というより「熱い!焦げる!」っていう感じだったんですが、それでもみんなじっと一人分の席に座って観戦してるし、列の真ん中らへんの人がちょっと申し訳なさそうにビールとかを頼むと6人7人がビールや代金やお釣りを手渡していくし、ビールを飲み過ぎて吐く人も滅多にいないし (いるんですかね)、試合後はそれなりにゴミが散らかっているけど基本的にはゴミをゴミ箱に捨てる人が多いし、、、
例を挙げていけばキリがないですが、日本人の集団行動には驚嘆すべきものがあります。
3、社会の分業
優勝した大阪桐蔭を始め、智辯和歌山、佐久長聖など強豪校の多くは「文武分業」ないし「文武分道」と言われます。つまり全国的に優れた進学実績を誇る進学コースと、野球推薦などで入学時から選抜されたスポーツコースに分かれていて、同じ学校なのに別カリキュラムみたいになっているらしいです。
まあ別に私立なので好きにしてくれっていうか、在籍している生徒はその学校の教育方針に共感したから入学したわけであって、外部の人間がギャーギャー騒ぎ立てるのは見当違いだとは思います。
しかし、一般論として僕は完全分業というものに賛成できません。(※上の高校が"完全分業"だと言っているのではないです) つまり野球を選んだら勉強は難しい、進学を目指すなら部活はほどほどにすべき、というのは改めるべきなのではないでしょうか。
実はこの疑問についての明確な解答を僕は持ち合わせていないのですが、「スポーツに打ち込む人でも将来収入源になりそうなまったく別のことを身につけておくべき」だと思っています。実際のところ中学・高校時代に野球に打ち込んだ全球児の中で、プロ野球に入団できる人なんて1パーセントもいないでしょ。1パーミリアド(1/10,000)もいないかもしれない。しかも何とかプロ野球の道に進んでもケガで戦力外とかになったら人生の終わりです。っていうかそれで人生の終わりになってはいけなくて、潰しが効くようなスキルが絶対に必要なんじゃないかなと思います。
もう一つ、まったく別の視点からです。
甲子園運営の裏方、すなわち審判やグラウンド整備スタッフも少しは脚光を浴びるべきではないでしょうか。甲子園の審判についての本を中学生の時にちょっと読んだことがあるのですが、基本的にボランティアみたいなもんらしいです。
審判には攻撃も守備もないので試合の間はずっと炎天下で立ちっぱなし、トイレ休憩とか水分補給とかはろくにできません。もちろんそんな状況で判定ミスを起こしても言い訳にはなりません。
彼ら審判には何かしら甲子園に思い入れのある人たち、例えば高校時代に野球部で甲子園に出場したけどずっとベンチ入りしていたとか、県大会であと一勝というところで行けなかったとか、そういう悔しい思いをずっと抱えてきた人たちが多いそうです。
このような審判、大会運営本部の役員、グラウンド整備のスタッフ、その他甲子園を支えている人たちの存在は無視してはいけないでしょう。彼らあっての大会だし、これも社会の分業です。
ちなみに最初の写真は第二試合の前にグラウンドに散水しているところです。
さてツイッター上でもいろいろ議論が沸いていましたが、ブロガーの皆さんはどうお考えでしょうか。