※ここ1週間ほど思考が散漫になっており、この記事も2ヶ月後くらいに加筆しに戻ってくると思う。
大分県の別府ムスリム協会が、土葬のための用地を確保するべく陳情書を出したという。
個人的に埋葬方法は別にどうでもいいのだが、昨今は火葬場の認可も下りないし、土葬はもっと大変だろうなと思う。というか近くでキリスト教徒は土葬されてるのか、なんだそれ。
このニュースで気になったのは①「住む国を選ぶ」のがどこまで可能なのか、誰にとって可能なのか、ということ。えらぶ
そして②「外国人はどこまでその国の法律、その自治体のルール策定に関与できるのか」「どこからが外国人なのか」という線引き。これは日本に来た外国人、外国に行く日本人がコインの裏表である。きめる
論点はこの2点に絞る。(といってもかなり脱線した)
■国家とは独占的な機関である。
めんどくさいので国家が統治しない無法地帯があったらいいのに(南極や宇宙は除く)と思うが、犯罪臭がプンプンするのでよくなさそう。アナーキーな考え方はあとでも述べる。
国防や義務教育、社会保障などを引き受ける単位が国家であり、パスポートの発行体も国家である。
■じゃあ国民とは何か。
辞書的にはその国家を構成する人々、その国の国籍を持つ者とされる。
「構成」とはどっからが構成なのか曖昧だが、国籍とは血統主義なら親の国籍、出生地主義なら生まれた国で決まる。
だが直感的には、日本における日本人と、アメリカにおけるアメリカ人と、パレスチナにおけるパレスチナ人は意味合いが違う気がする。
何がその違いを生み出しているかというと、民族構成が違うのと、国の成り立ちや状況が違うのと、"国家"以外のレイヤーがあるかないか、とかか。
これって、I'm from JapanとI'm JapaneseとI'm a Japaneseの違いになるのか。全然違うのか。今度考えてみる。
日本においては明治維新や大戦を期にブツリと国全体が生まれ変わっており、その当時からの連続性として物事が決定される、というか慣性(保守?)が存在する。
投票で決めるのであれば2024年の今を生きている人たちの合理的判断だけじゃなく、過去を生きた人たちの価値基準も参照しましょうね的な。別に1000年も遡る必要はないが、ここ直近20年くらいの動向は引き継がれるような体感。
仮に2025年に台湾(人口2500万人)が日本(人口12500万人)と合体したとして、人口15000万人のなかの人口配分で物事(法律)が決まるかというとそうではなく、台湾は台湾の慣性、日本は日本の慣性をしばらく引きずってすり合わせが始まるだろうな。
もっと現実的な例は朝鮮半島が統一したとして、元北朝鮮の人々と、元韓国の人々は異なる挙動をするだろうな、という。
つまり国家には政府という機関と国境という人為的なラインがあって(=自然地形を利用したものであってもそれを国境として利用するのは人為的とみなして)、国民はそこにぶら下がっているけど、もしその人為的なラインを突然変えても、すぐには国民は反応しない慣性がある。
その慣性をぶち破るビッグイベントがあったらすべてがひっくりかえるし(=明治維新、大戦)、そうじゃなければ最低20年はかけてゆっくりゆっくり制度が変わる。
生物でいうホメオスタシス的な、と思ったけどこれは違うかもしれない。
まあ伝統といえばそれか。
どうなんだろ、朝鮮半島が統一したらやっぱ劇的に変わるか。
■国家を「選ぶ」とは
国を「選ぶ」にはレベルがあって
旅行する、長期滞在する、銀行口座や会社を設立する、永住する、土地の所有権を獲得する、帰化する
ざっくりこんな分け方。
大学生のときにそれ系のバイトを応募していたがコロナでぽしゃった。やってたらリアルなグラデーションが分かっただろう。
「帰化」ってのは法務大臣が法的に日本国籍を許可すること、なので正式に日本人ですよねっていう。
東京法務局によると条件はこれ。
ふーん。
まあ国籍なんて国によっては2000万円とかで買える。
国際指名手配を受けたら(=母国以外の国籍が欲しかったら)わざわざ日本に帰化するよりそういう国で買った方が早い。
「土地の所有権を獲得する」について、日本の土地は中国人・中国資本でも買える。これは「所有権」の取得に国籍の制限がないということで、まあ世界的にかなり珍しい。
一般的には「所有権」は外国人には買えない。
日本人がインドネシアやマレーシアの土地・建物を買おうとすると、「利用権」が25年とかの制限付きで買えるくらいで、「所有権」はまあなかなか難しい。そりゃそうだ、外国人が投機的に買い占めてたら自国民が買えなくなる。
国境で紛争が起きそうになったら資本を投下して買っちゃえ!排他的経済水域?島ごと買っちゃえ!みたいになる。
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永住はアメリカのグリーンカードとかタイのエリートビザとかが有名。
それ以下はまあはい。
なおついでに気になったので調べてみたが、日本の生活保護を受給することができる外国人の在留資格は、「永住者」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「特別永住者」、「難民認定された者」らしい。僕もいつか受給したい。
逆に日本人が外国の公的扶助を受けられるのかというと、ヨーロッパのコロナ給付金とかが該当するか。どっかの国がベーシックインカムを始めたら"国民"の数が急に増えそう。というか日本の生活保護はもはやベーシックインカムみたいなものでは。
次に「参政権」がどこまでの範囲に認められるのか。
これは国会でも議論になっていて、参議院に提出された請願ってのをお見せする。
外国籍住民に対する地方参政権の付与に関する請願:請願の要旨:参議院
おそらく一番最初に出した「ムスリム協会が、土葬のための用地を確保したい」に対する個人的な感想として、「あれ?外国人ってどこまで日本の法律に働きかけていいんだっけ」があった。
まさにそれとクリティカルにシンクロした問題提起である。
納税してれば参政権は認められるべきなのか。
「定住」からいいのか、「永住」じゃないといけないのか。
ガバガバに参政権を認めるほど多文化共生を推進するコンセンサスは取れてないんじゃないか。
そしてこれはアメリカやパレスチナの法律を読んでみると全然違うことが書いてあるんじゃないか。
■国を「選ぶ」
国を「選ぶ」というのは、その国から得られるリターンとコストを比較することなんだが、注意点として
国家(政府)によるサービス:税制、治安、国防、融資
国家(政府)によらないサービス:気候風土、食事、言語、文化
があるのと、
母国からどこまで足を洗うか:住民票を抜く、資産をフライトする、指名手配されて帰国できない
移住先にどこまでどっぷり浸かるか:どうせ次の国に行くし、どうせインターネット内で生活するし、みたいな引き籠り思考
あとは
非国家サービスの利用:GAFAに納税、暗号資産
超国家サービス:宗教
無人島的な生活:完全に自給自足してたらどこの国に住んでてもあんま変わらん。知ってる人だと初海外でフィリピンの無人島生活をしていて、無人島だからフィリピンだろうがどこでも変わらんと言っていた
これらの総合的判断になろう。
■選べる人、選べない人。選ばれる国、選ばれない国
当然のことながら、以上の議論は僕が資本主義に完全に洗脳されたうえで資本家になろうとしているから成り立つわけで、万人に当てはまるものでも、オススメできるものでもない。
そろそろ力尽きてきたので最後に図を貼って終わろう。
「選べる人」が「選ばれる国」に行くこと、資産家が税金の安い国に資産管理会社をつくる的な、それは確かに贅沢だし誰にでもできることではないが、
だが元気な人が南国にぶらぶら~と渡っていくのもまたこの象限に該当するのではないか。
というかここでは「国」といっているが、よりよい家、よりよい会社を選ぶのだって同じ構造なわけで。
「選べない人」が「選ばれない国」にいるのは悲劇で終わるのではなく、実は制度をハックしていくとその奥にアナーキーな抜け道が見つかったりもして
(西成には西成の経済圏がある的な)まあ悲観ばっかりするものでもないよ、と。
ただおそらくこの象限の線引きは本人にとっても誰にとっても見えないもので、
「選べない人」vs「選べる人」を分けるのは本人の属性(収入とか国籍とか性別とか健康状態とか)ではなく、その人が世界をどうとらえて、それがどういう世界なのか、なのでは。
そして「選べない人」☞「選べる人」の移動は、できる人にとっては気づいたらできており、できない人にとってはどれだけもがいても線を超えられない類のものでは。
「贅沢」の値付けは本人次第である。