どうもこんにちは。
3日ほど前にこういう文章がツイッターの一部の世界を駆け巡りましたが、読まれた方はいらっしゃるでしょうか。
現役の京大生として、あとは東大生や東大OBOGの知り合いが20人くらいいる人間として読んだんですが、簡単に感想を言わせてもらうと
スパルタ家庭に生まれたらたまったもんじゃないよな。脱走するわ
というところです。
この文章は3600字とあまり長くないので、よかったら最後まで読んでいただきたいです。
東大、かわいそうだな
「さんまの東大方程式」「東大王」「東大生100人に聞いたホニャホニャ」。
なんやかんや東京大学というのはやっかみ半分で議論のやり玉にあげられるんですが、京大はその点ラクなもんですね。だって京大がメディアに登場するのって学生寮とかタテカンとかノーベル賞とか、どこかノホホンと聞いていられる話題が多いんですよね(※当事者にとってはやんごとなき話題かもしれない)。
でも「東大」というキーワードが使われるとき、語る側も語られる側もおたがいに学歴コンプレックスがすさまじい。しかもどっちもグニャグニャに屈折している。
平成も終わるんだし、もういい加減やめてあげたらどうですか、偏差値主義。というより勝手に偏差値というバイアスをかけて人間に判断するの。
ちょっと表現しにくいんだけど、「東京大学」の価値っていうのは「東京大学」なだけであって、それに関しては過大評価も過小評価もしてはいけないんですよ。すごく当たり前のようだけど、これがなかなか難しいようですね。
例えるなら「日本人」というのは定義上「日本の国籍を有している人」のことであって、それ以上でもそれ以下でもないわけです。多少の国民性は統計的にあるかもしれないけど、それは各個人の有する交換不可能な価値とは無関係なんです。
まあ砕いて表現するなら「日本人だったらこれくらいできるでしょ」「日本人なのに珍しいね」っていうのはバイアスがかかっているということ。そんなことあんまり言われたくないでしょ?
「東京大学の学生」が意味するのは、
センター受験と東京大学の二次試験の合計点がその年の合格基準より高かった人。もしくは推薦入試で受かった人。
それ以上でもそれ以下でもないです。
が、そうはいってもやっぱりこの適正評価っていうのは難しいでしょうね。特に身近に東大生がいないとなおさらそうなのかもしれない。でも僕の知り合いの東大生ってフツーな人ばっかりですよ?強いて言うなら「真面目さ」「素直さ」「熱心さ」は確かに平均以上だけど、でもだからって天才じゃないですよ?
受験にそこまでお金かけてる家庭って少数派では?
そもそも僕は地方の公立中学校と道立の高校を卒業した人間でして、僕の「知り合い東大生」にはあまり私立出身者が含まれていません。それに「理3」「京医」の人もほとんどいません。
なのでデータとして僕の感覚を使うことはイマイチですが、それでもあえて言わせてもらうなら、国公立大学である東大や京大には一般家庭の出身者が少なくないように思います。むしろ地方の貧困家庭でそれなりに勉強してきた人が一定数いる印象です。投資額でいうと早慶とか医学部のほうがすごいんでしょう。
中学受験には夏と冬の講習を合わせると2年で300万円。
中高一貫校なので年に100万円。その他の出費も足すと在学中は1000万円。
浪人時の予備校は合計100万円くらい。
はたして東大受験に毎年100万円近いお金をかけている家庭は一般的なのでしょうか。もっといい資料があれば紹介してほしいですが、とりあえず次のようなものを見つけました。
東大生の半分以上が年収約1000万以上の家庭 | 格差脱出研究所
このグラフは2017年の国民生活基礎調査(青いバー)と2017年の東京大学の学生生活実態調査(赤いバー)から「平均的な日本人の収入」と「東大生を持つ親の収入」を並べたものなんですが、ここからいくつかのことが読み取れます。
・「確かに東大生の半分は年収1000万円以上の家庭出身である」
→ただしこれは
「実は東大生の半数は年収1000万円未満の家庭出身である」
という捉え方もできる。
・年収400万円未満の家庭からも東大生が出ている。しかも1割を超えている。
→奨学金制度を活用している家庭もある。
・もっとも割合が高いのは年収が1000万円前後。
日本人サラリーマンの平均年収とか年収の中央値はだいたい400万円と言われているので、1000万円というのは高給のように思える。しかし子供が大学生になるということは親の年齢層は40-50代だろう。それで年収1000万円というのはべらぼうに高収入というわけではないのでは?
なおこの調査にはいくつか問題点があって「平均的な日本人の収入」ではなく「(国公立/私立)大学生を持つ親の収入」を使うほうが良いのではないでしょうか。
また大学受験までに総額でいくらの教育費を投じたのかという統計も欲しいところです。
加えて「東大を目指していた/不合格だった人」についても同様のデータを集めるべきでしょう。ただし後者は難しいかも。
スパルタ家庭に生まれたらたまったもんじゃないよな。脱走するわ
「東大以外は大学じゃない」とかいう人ってこのご時世にもいるんですね。というか本当に存在したんですね。
親の満足する勉強量をこなさないと日常的に叩かれる世界
これが虐待か。
まだ体格もできていない子供を「よりよい人生」を歩ませるためにぶん殴るわけです。これ、本当によくあることですよ。ウチだけじゃない。中学受験で平均的ってほどではないけど、滅茶苦茶よくある光景。
これは同情するしかないです。
路線が変わってしまうのでこの記事ではこれ以上書きませんけど、虐待は個人的にめちゃくちゃ許せないです。でもまあ、いろいろあるんでしょうね。
で、ほんとに東大は「そういう世界」なのか?
「そういう世界」というのはつまり「高収入の家庭じゃないと入れない」「めちゃくちゃ勉強しなきゃ入れない」世界ということです。
収入についてはすでに述べました。簡単にいうと「高収入の家庭は多いけど、そうとも限らない」ということです。
では勉強についてはどうでしょうか。
土曜には学校の他に10時間以上勉強して、日曜には15時間くらい。平日には学校の授業+7時間以上とかやってました。学校には朝7時に行ってましたしね。
正直なところこれ以上勉強時間を増やすことはできないと思います。1日が24時間である限り、これが限界だと思います。
ですが、すべての東大生がここまで勉強してきたとは考えにくいです。
東進がこういう調査をしています。
だいたいの目安として「1日3時間勉強したら1年で1000時間くらい」です。
左の比較対象が「現役不合格者」なのであって「その他の大学合格者」ではないというのがなんかシビアですね。
難関大現役合格者 学校以外での勉強時間平均6時間2分!!|大学受験情報 Toshin Times on Web 2013年05月01日号 1面
正直これもデータとしてあまり使えないというか、脱線しそうなので簡単にまとめますが「授業以外にどれだけ勉強するかより、授業中にしっかり集中すべき」です。
どれだけ集中してたかっていうのはデータには表れてこないものです。そして勉強時間をただ延ばそうとするのは単なる自己満足でしかありません。暗記をしたければメリハリが大事。時には運動とかをして気分をリフレッシュさせることも大事。
だけどそれなりの勉強時間というのは必要になってくるのでしょう。
つまり、勉強時間についてまとめますと
高1や高2の時からきちんと勉強時間を確保し、高3では毎日6時間くらい勉強しないと、難関大学に挑むのは統計的にキツいかも
ということです。でもこれ、決して難しいことではないですよ。少なくとも「東大に入りたかったら24時間をフルに勉強時間にあてないとダメ」ではないです。
それより大変なのは、高校の進路指導部に充分なノウハウがあるか、自分に適した勉強方法を高3までに確立できているか、授業はきちんと基礎を固めてくれたか、あとは身近にモチベーションを高めてくれる人がいるか、などではないでしょうか。
その他
一番最初に思ったことを最後に書くんですが、そんなにこの文章って長いですか?小説とか読んだことありますか?まあ「無駄に」長いかどうかというと分からないですが、個人的には1万字くらいなんともないです。
あと「敗れる」を「破れる」と書いているのが初っ端から気になっていました。
それでは失礼いたします。 ご機嫌よう。