ヤマダ=イスキーの旅日記

イギリス留学、世界一周などをしていました。

北朝鮮旅行が安全であると言える4つの理由

 

2019年2月、金正恩総書記の誕生日を中心とする3泊4日の北朝鮮ツアーに参加しました。申し込んだのはYPT (Young Pioneer Tours)という旅行会社で、北朝鮮以外にも世界各地でのツアーを企画しています。

(※ツアーの内容やツアー会社の比較については別記事で述べます。)

 

出発前に不安がないわけではありませんでしたが、実際に旅行してみると北朝鮮は旅行者にとって非常に安全であることが分かりました。少なくとも2019年2月の時点で」「ルールさえ守れば」「比較的」安全ということです。もちろん自由旅行ではないために少々の制約を感じたことは否定しませんが、それでも十二分に楽しかったです。

 

参考までに、2017年には100人、2018年には300人ほどの日本人が訪朝したそうです。

 

 

具体的にはどういうことでしょうか。以下で詳しく述べていきます。

  

0、 はじめに

最初に僕がどのような人間か断っておきましょう。今回の北朝鮮渡航は26カ国目で、世界一周の途中で参加しました。イギリス留学経験などもあり、ツアーはすべて英語でしたが特に問題はありませんでした。中国語がカタコトなら話せて、ハングルもゆっくりなら読めます。要するに旅慣れています。

 

 

1、 北朝鮮で守るべきルールとは何か

旅行会社に申し込むときには当然契約を交わすのですが、そこには北朝鮮での行動規則についてこのように書いてあります。(原文の抄訳と翻訳)

 

・Respect the local political ideology and their leaders. Under no circumstances should you insult their leaders in public, damage/deface any images of their leaders or any political slogans and imagery.

金一族と国家体制に対して敬意を表すること。公共の場において金一族の肖像や政治的なスローガンを傷つけないこと。

 

・Photography or video recording of any military personnel, military vehicles, military installments, military check points or any sort of construction within the DPRK is strictly prohibited.

軍人や軍事施設については写真や動画を撮ってはいけない。

DPRK=Democratic People’s Republic of Korea、つまり朝鮮民主主義人民共和国

 

・Foreign tourists must be accompanied by a guide at all times.

外国人旅行者には常にガイドが付きそう。

 

 

行動ルールなんてこんなものです。そして一番下にはこんなことが書いてありました。

Incidents are extremely rare and to date, all intentional – not accidental.

北朝鮮で反体制的な行動をした場合、もしくは当局にそのように誤解されるような行動をした場合、確かに拘束される可能性はあるようです。しかし、よっぽどのことをしない限りは本当に大丈夫です。(アメリカ国籍だと厳しめですが、現在はアメリカ人の訪朝は規制されています。)

 

 

2、 2019年時点での国際情勢

僕が北朝鮮に行こうと思った動機はいくつかありますが、「大学院で東アジアの国際政治を勉強したいから」というのがたぶん最大の理由です。そのためもあって僕は普段から国際ニュースをチェックしているのですが、しかしそうでなくても海外旅行をするならば最低限のニュースくらいは確認すべきでしょう。

 

ここ最近のニュースとしては、2018年に歴史上はじめて北朝鮮アメリカ合衆国の首脳がシンガポールにて対面して握手するという出来事がありました。2019年には2回目の対談がベトナムで予定されています。

 

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そもそも金正恩体制になってからというもの、”核開発は継続しつつも、対話による現状改善を探る”というようなスタンスになってきています。しかも場合によってはいくらか譲歩するような姿勢も見せています。

 

これはトランプ大統領のイメージが”もしかしたら先制攻撃を仕掛けてくるかもしれない”が、逆に”今まで政治実績がないから対北朝鮮交渉で結果を出したがっている”というのも原因でしょう。何はともあれ2018年以降は北朝鮮と隣国の関係がかなり良好になりました。

 

 

逆に2000年代や2010年の序盤には北朝鮮が何度も核実験を繰り返していて、その当時であれば北朝鮮への入国はややハードルが高かったでしょう。今後も国際情勢が緊迫すれば外国人を締め出すということは充分に考えられます。

 

しかし、外国人旅行者というのは1つの貴重な外貨獲得手段であり、また平壌のよく整備された街並みなどを外国にアピールする手段でもあるわけです。当局としても観光産業の成長は嬉しいものでしょうし、よっぽどのことがない限りは観光目的での入国はシャットアウトされないと思います。

 

 

3、 人々の暮らし、料理や衛生面、気候風土

訪朝前に僕が抱いていたイメージとして「田舎の人々は汚れた薄いジャンパーを着て寒そうに歩いている」「家屋は築50年は経っていてボロボロ」というようなものがありました。たぶん90年代の飢饉のときはそうだったんでしょうし、僕が読んだ脱北者の手記とかもその時期のものが多いのでイメージがそうなるのは仕方ないかもしれません。

 

なお2019年時点では国連からの支援物資が国家体制の強化に使われているとしてストップなしい制限されているんですが、確かにそのために田舎ではエネルギーや食糧が欠乏しているそうです。特に2019年1月には豪雨に続く寒波のために小麦や大麦、野菜、イモが不作らしく、国連に支援を要請したとのことです。受理される可能性は低いでしょう。

 

www.afpbb.com

 

が、外国人はこれらの実情を見ることはできません。僕らが見れるのは

「丹東から平壌までの鉄道から見える範囲」

平壌市内とその周辺」

軍事境界線の近くと、そこから平壌に戻る途中の観光地」

このくらいです。丹東と川を隔てて対岸にある新義州という街に行きたい人は行けるそうですが、そこも整備された街なんでしょう。それに外国人として外から見るのと、実際にコミュニティーに属して生活するのとでは違うものです。

 

 

北朝鮮では居住が厳しく管理されていて、特に山間部で生活している人たちはかなり貧しいそうです。見たところではアイスランド並みに土壌が貧相でしたし、さらに傾斜がきついとか日射が悪いとか悪条件が重なったら生きていくのは大変でしょう。

 

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だけど社会主義の国だけあって、家は結婚すると国から支給されるそうです。家賃などはなく、また光熱費もかなり安いそうです。しかも小中高の授業料がなく医療費も無料なので、給料はめちゃくちゃ低いものの何とか生活はできているらしいです。

 

なんだかんだ言って社会主義のいいところは機能しているということですね。「貧富の格差」は存在していますが。。。

 

 

 

料理についてはツアーということもあって毎食豪華でした。貧乏バックパッカーとしては久しぶりのご馳走をたらふく食べられたので幸せでしたが、庶民の日常的な食事とは到底言いがたいです。日本でいうと毎食のように懐石料理が出されるような感じ。伝統的な朝鮮料理が味わえたのはいい経験でしたが、屋台フードはあまりトライできませんでした。水道水は飲んでも問題ないでしょうがペットボトルを買った方が便利です。お腹を壊している人は1人もいませんでした。

 

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焼肉からの平壌冷麺

 

道を歩いていても野犬に襲われることはなく、スリや強盗は重罪でしょうから可能性は低く、車の運転は軍人や政府関係者など一部の限られた人にしか許可されないので交通量は極めて少ないです。そして安全運転です。

 

一番危なかったのは、、、道が凍っていて滑りやすかったとか、そんなもんでしょうか。東南アジアのほうがよっぽど危ないです。というか世界で一番危ないのって間違いなくパリとかロンドンとかニューヨークとかです。逆にどうしてそういう大都市には警戒せずに行けるのか理解できません。

 

 

4、 「比較的」安全とは

1番にて最低限のルールとは何かについて述べました。3つ目の「ガイドが付きそう」というのはやや面倒な気もしますが、ガイドはあくまでガイドであって監視役だとは感じませんでした。なんならボディガードだと思った方がいいです。

 

そもそも北朝鮮では外国人旅行者が少ないわけで、韓国語のできない人間が単独でフラフラ歩いていたらあっという間に迷うことでしょう。別にバックパッカーとしては迷うことは嫌いじゃないけど、それでもガイドがいた方がいろいろ安全だしローカル情報も得られて楽しめるものです。山岳ガイドみたいなもんだと思ってください。

 

 

「国家体制への敬意」「軍事施設は撮影禁止」というのはめちゃくちゃ当たり前のことです。これは北朝鮮だけじゃないです。なんなら日本でも当てはまります。

 

考えてみてください。もし外国人旅行者が日本で天皇肖像画日章旗を破壊していたらどうでしょう。もし自衛隊の施設を望遠カメラで撮影していたらどうでしょう。かなり高い確率でなんらかの罰則が下されることと思います。

 

これはいくつかの国では特に厳しく罰せられます。例えばタイでは王族の肖像画が街中のいたるところに掲げられています。もしそれらを侮辱したら、もしくはそう捉えられる言動をしたら、「不敬罪」として5年以上の禁錮とかが言い渡される可能性だってあります。そこまでじゃなくてもタイの映画館に行って国歌演奏時に立ち上がらなかったら、それも不敬罪になるそうです。

 

イスラム圏でもムハンマドを侮辱したら、モスクに入るときに適切な服装や言動ではなかったら、かなり重たい処罰を覚悟すべきです。

 

北朝鮮のほうがずっと緩いと思いますよ。というか当然のペナルティーだと思います。

 

 

ちなみに鉄道や空港など、戦争時に物資の運搬に使われうる施設では基本的に撮影はしないほうがいいです。日本人はそこらへんが平和ボケしすぎていますが、特に旧ソ連圏や軍隊を保有している国では当たり前ですが要注意です。別の建物の写真を撮っていて写りこんでしまったとかでも、理論武装としてはまったく意味をもちません。

 

 

逆に常識にのっとって気をつけるべきことに気をつけていたら、あとはガイドの指示通りに行動していたら、本当に何も問題はありません。

 

なお「非常識な行動」というのはこういうことです。これでも出国させてくれるんですよ?

hbol.jp

 

ちなみにガイド曰く、問題を起こしがちなのは東欧など旧ソ連圏からの旅行者らしいです。「自分たちの国ではこれはオッケーだよ?」とか言いながら平気で北朝鮮のルールを破っていくんだとか。因果応報だと思います。