「文章の書き方」系の本を何冊か読んでいくと、だんだん重複した部分が出てくるようになった。今回はこの本で初めて知って、ふーんと思った内容について。
うまいラーメンの味をどう表現するか
様子を描写する
「特注の機械から出てくる縮れ麺は、美しい透明感とツルツルした光沢がある」
「"へいお待ち"と目の前に置かれたどんぶりからは、熱々の湯気が立ちのぼっていた」
感覚を具体的に書く
「手打ち麺のもちもち感がたまらない」「魚介スープの香りが立っている」
食べ終わった感想を書く
「麺を完食、さらにはスープも飲み干して、すっかり満足。ごちそうさまでした」
理由を詳しく説明する
「この特製スープは店長が3年間も試行錯誤して作りあげたそうだ」
「手打ち麺の原料には、カナダ産の最高級小麦が使われている」
ほかと比べる
「ラーメン激戦区の今出川通りでも1、2位を争うおいしさだ」
ほかの人の意見を引用して、客観性を持たせる
「一度は行っておきたい店として、ラーメン専門誌にも紹介されている」
⇒なんとなく、うまい料理を描写するより、まずい料理を描写するほうがラクな気がする。
うまい料理は普通3点、最高でも5点。感情としても「うまい」だけ。
逆にまずい料理はー10点があるかと思えばー30点なこともあり、点数すらつけられないものもありそう。辛すぎて食べられないものあれば、焦げていて苦いものもあれば、臭い、ドロドロしている、危険そう、などなど。もともと多様なものは技巧を凝らさなくても多様に表現できる。
読点をどこに打つか
読点は気分で打つものではなく、できるだけ論理的に打ちたい。ただしこれに関して教科書的な正解はなかなかなく、作家によっても読点のリズムが異なる。しかも同じ作家でも結核になって息がとぎれとぎれになると、それ以降の作品で読点が増えたりする。
とりあえずこの本で紹介されていた読点の基準は、意味、長さ、構造、表記、の4点。
意味から考える
複数の意味に解釈できてしまう文章は、狙った意味になるような場所に読点を打つ必要がある。
「友人は走っていって段差につまづいた少女を助け起こした。」
①友人は、走っていって段差につまづいた少女を助け起こした。
②友人は走っていって、段差につまづいた少女を助け起こした。
長さから考える
修飾・被修飾、主語・述語の距離が遠いとき、読点を打つことで関係を分かりやすくする。
「友人は段差につまづいて転んでしまった少女を助け起こした。」
⇒友人は、段差につまづいて転んでしまった少女を助け起こした。
構造から考える
文章の全体構造がはっきりするところに読点を打つ。
「日本の箸は比較的短くて一方の先端が細くなっているが中国の箸は比較的長くて太さもあまり変わらない。」
⇒日本の箸は比較的短くて、一方の先端が細くなっているが、中国の箸は比較的長くて、太さもあまり変わらない。
もっというと、1文章1情報の法則を適用して、2つの文に分けたほうが読みやすい。
⇒日本の箸は比較的短くて、一方の先端が細くなっている。それに対して中国の箸は比較的長く、太さもあまり変わらない。
表記から考える
ひらがなの連続、漢字の連続は読みにくいので、途中で読点を打つ。
竹でできたひもつきのさいばし
⇒竹でできた、ひもつきのさいばし
まあこのあたりの基準は模範解答だとして、もっと微妙な打つか打たないかの判断も多い。これについてどの本に書いてあったか覚えていないが、絶対音感ならぬ「絶対文感」みたいな領域になってくる。
一度書いた文章をひと晩寝かせておいて、翌朝音読してみると読点が気になることはよくある。